xTool F1 vs xTool F1 Ultra:違いを徹底解説
レーザー加工を趣味とする方なら、xToolが高速ポータブルレーザー彫刻機「xTool F1」の後継機として、xTool F1 Ultraを新たに発表したことをご存じかもしれません。
F1 UltraがF1と比べてどれほど進化したのか気になる方は、本記事をお読みください。F1とF1 Ultraの違いを比較しながら、どちらを選ぶべきかを解説します。

In This Article
- xTool F1とxTool F1 Ultra:簡易比較
- xTool F1とF1 Ultra:レーザー出力と光源の違い
- xTool F1とF1 Ultra:対応素材の違い
- xTool F1とF1 Ultra:本体サイズと作業エリア
- xTool F1とF1 Ultra:彫刻スピードの違い
- xTool F1とF1 Ultra:彫刻の多様性
- xTool F1とF1 Ultra:デザイン位置合わせとフォーカス調整
- xTool F1とF1 Ultra:ソフトウェアと操作性
- 結論:どちらを選ぶべきか?
xTool F1とxTool F1 Ultra:簡易比較
詳細に入る前に、両モデルの主要スペックをざっと比較してみましょう:
xTool F1とF1 Ultra:レーザー出力と光源の違い
最も大きな違いは、レーザーの種類と出力にあります。xTool F1 Ultraは、20Wファイバーレーザーと20Wダイオードレーザーの両方を搭載した世界初のマシンです。ファイバーレーザーモジュールは、ファイバー増幅媒質によって強化された赤外線レーザーを発します。
一方、xTool F1は主に10Wのダイオードレーザーと2Wの赤外線レーザーモジュールを採用しています。この2Wモジュールも赤外線レーザーですが、増幅媒質に異なる材料を使ったDPSSL(ダイオード励起固体レーザー)方式であり、F1 Ultraほどの出力は持っていません。
xTool F1とF1 Ultra:対応素材の違い
F1 Ultraに搭載された新しいレーザーによって、素材への対応力が格段に向上しました。ファイバーレーザーにより、0.3ミリのステンレス、0.2ミリのアルミニウム、0.4ミリの真鍮など、薄い金属板のカットにも対応可能です。
彫刻の深さは、レーザーの種類と出力に依存します。F1 Ultraは、石、セラミック、プラスチック、金属全般への深彫りが可能です。さらに20Wのダイオードレーザーも搭載されており、木材、レザー、アクリル、ゴム、紙などの一般的な素材への彫刻やカットにも引き続き対応します。

xTool F1 Ultraで深彫り
一方、xTool F1もダイオードレーザーと赤外線レーザーモジュールを備えており、F1 Ultraと同じ素材に対応していますが、彫刻の深さには制限があります。
xTool F1とF1 Ultra:本体サイズと作業エリア
両モデルにはサイズと作業領域に大きな違いがあります。xTool F1 UltraはF1の約2倍の大きさで、基本作業エリアは220×220mmです。自動搬送装置を追加すれば220×550mmに拡張可能で、ガルボ式レーザー彫刻機としては最大級のワークエリアを誇ります。高さ145mmまでの素材に対応でき、本体重量は約14.7kgと、デスクトップでも設置しやすいサイズ感です。

一方、xTool F1は持ち運びやすさとコンパクトさを重視した設計となっており、手持ち可能なデザインで本体重量はわずか4.6kgです。作業エリアは115×115mmで、スライド延長パーツを追加することで115×400mmに拡張できます。

xTool F1とF1 Ultra:彫刻スピードの違い
F1とF1 Ultraはいずれもガルボ方式のレーザー技術を採用しており、高速な産業レベルの彫刻を可能にしています。従来、F1は最大4,000mm/秒という業界最速クラスの彫刻速度を誇っていましたが、F1 Ultraはそれを大きく上回る10,000mm/秒という圧倒的なスピードを実現しています。

xTool F1とF1 Ultra:彫刻の多様性
F1 Ultraで追加された大きな進化の一つが、曲面彫刻への対応です。スマートカメラが3D形状の物体をスキャン・マッピングし、高さの変化に応じて自動的にフォーカスを調整する機構が搭載されています。さらに、別売のRA2 Proアタッチメントを使用することで回転彫刻も可能です。

一方、xTool F1は平面彫刻および回転彫刻にのみ対応しており、曲面や凹凸のある素材には対応していません。
xTool F1とF1 Ultra:デザイン位置合わせとフォーカス調整
xTool F1とF1 Ultraの両方とも、レーザーヘッドにおけるオートフォーカスと手動フォーカスの両方に対応していますが、いくつかの重要な違いがあります。
F1 Ultraではカメラが自動的に素材の厚さを検出し、ユーザー操作なしでフォーカスを調整します。対してF1では、ユーザーが手動で素材の厚みを入力し、フォーカスを調整する必要があります。
F1にはプレビュー用のカメラがなく、青色レーザーフレームによる大まかな位置確認しかできません。一方、F1 Ultraには作業エリアを内部から確認できるスマートカメラが搭載されており、位置合わせが格段に簡単です。さらに、F1 Ultraのスマートカメラは形状認識と自動パターン配置が可能で、複数個の同時加工にも対応できます。
xTool F1とF1 Ultra:ソフトウェアと操作性
両機種とも、xTool独自のソフトウェア「XCS」に対応しており、初心者にも使いやすく、あらかじめ登録された素材パラメータで簡単に操作できます。デザインをドラッグ&ドロップするだけで、カットや彫刻をすぐに開始できます。また、人気の高いレーザー制御ソフト「Lightburn」にも対応しています。
F1 Ultraには、追加の操作手段として7GBの内蔵ストレージを備えたタッチスクリーンパネルが搭載されており、外部PCに接続せずとも本体から直接データを読み込み、加工を実行できます。
結論:どちらを選ぶべきか?
xTool F1 Ultraは、多くのユーザーが待ち望んだ大幅なアップグレードモデルです。その強化された性能は非常に魅力的ですが、初めてレーザー機器を導入する方は、用途に応じて慎重に選ぶべきです。
持ち運びができるハンディサイズで、簡単なカットや彫刻作業を行いたい場合には、xTool F1が手頃な価格でクラフトライフを始めるのに最適です。一方で、金属の切断や深彫り、大型のプロジェクトを行うのであれば、F1 Ultraの方がコストパフォーマンスに優れた選択肢です。