アイロンでDTF転写を適用するには?
これまでにDTF(ダイレクト・トゥ・フィルム)転写を扱ったことがある方なら、通常は業務用のヒートプレスを使うのが一般的だとご存じでしょう。でも、ヒートプレスが手元にない場合は?家庭用のアイロンでも代用できるのでしょうか?
答えは「はい」ですが、いくつかの注意点があります。商業用途や継続的な使用には適していませんが、技術的にはアイロンでもDTF転写を行うことは可能です。
本ガイドでは、アイロンを使ってDTF転写を成功させるための具体的な手順をご紹介します。最後に、この方法があくまで“裏技”であり、業界標準ではない理由についても説明します。
この記事の内容
- 必要な材料
- ステップバイステップで学ぶアイロンによるDTF転写の方法
- アイロン使用の制限点
- 結論:アイロンでDTF転写はできる?
必要な材料
以下の3つが基本的に必要です:
家庭用アイロン
どの家庭用アイロンでも使用可能ですが、スチーム機能は必ずオフにしてください。蒸気は転写の妨げになります。
テフロンシートまたはクッキングシート
転写シートがアイロンと直接接触しないように保護し、焦げを防ぎます。布カバーは熱が均等に伝わらないため避けてください。
無地のシャツ
DTFフィルムはほとんどすべての生地に使用できるため、コットン、ポリエステル、混紡生地など、好みのTシャツを選べます。
ステップバイステップで学ぶアイロンによるDTF転写の方法
必要な材料が揃ったら、次の手順でアイロン転写を実践しましょう:
ステップ1:アイロンを予熱する
水は入れず、スチームなしのドライ設定にします。家庭用アイロンには正確な温度設定がないため、生地に応じたダイヤル設定を選びます。
コットンTシャツの場合はダイヤルを「4」に設定します。このとき、中央部は約336°F(約168℃)、縁は約300°F(約149℃)になります。ポリエステルの場合は1段階下げましょう。
ステップ2:シャツを準備する
プレスパッドのような耐熱クッションをテーブルに敷き、その上にシャツを平らに置いてシワを伸ばします。
ステップ3:転写フィルムの配置

©TransferSuperStar – YouTube
DTF転写フィルムをインク面を下にしてシャツの上に配置します。デザイン部分にはテフロンシートを被せて直接熱がかからないように保護します。小さなデザインでズレが気になる場合は、耐熱テープで固定します。
ステップ4:部分ごとに圧着する

アイロンを転写シートの一部(例:左上)にしっかり押し当て、体重をかけて10~15秒保持します。ヒートプレスの圧力を模倣するイメージです。
少しずつアイロンを横にずらし、重なるように全体を均等にプレスしていきます。途中でアイロンを持ち上げると、接着にムラが出るので避けてください。
ステップ5:冷却して剥がす

転写部分を完全に冷却(約2~3分)させてから、フィルムの端を持って180度の角度でゆっくり剥がします。インクが残る場合は、その部分を再度プレスしてください。
ステップ6:仕上げプレス(任意)

耐久性を高めるために、剥がしたフィルムを裏返して再度デザインの上に乗せ、5~7秒ずつ再プレスします。縁や細かい部分を重点的に行いましょう。

アイロン使用の制限点
アイロンを使うことは技術的には可能ですが、あくまで緊急対応であり、継続的な手法ではありません。以下の3つの主な課題があります:
熱が均等に分布しない
アイロンにはヒートプレスのような温度制御がなく、中央は高温でも縁は低温というようなムラが生じ、焦げや未接着のリスクがあります。
一貫した圧力がかけにくい
どれだけ力を入れても、人の手ではヒートプレスの均一な圧力にはかないません。その結果、接着ムラや早期のひび割れが発生します。
仕上がりが不安定
アイロン転写では、数回の洗濯でシワ・縮み・剥がれが出るケースが多く、圧着ラインが不十分で寿命が短くなることが知られています。
結論:アイロンでDTF転写はできる?
アイロンは、イベント用や1回限りの使用など、個人的なプロジェクトには使えます。
初回の仕上がりは綺麗でも、繰り返しの洗濯や販売目的には不向きです。その場合は、初心者向けの小型ヒートプレス(例:xTool Heat Press)を使うのが理想です。